学生寮
「そんなことないですよ。
私より、みのりの方がモテます」


えー、裕子、私に話を振らないでよぉ。


「ほお?みのりちゃん、この間はそんな話出なかったなあ。
詳しく聞きたいなあ。
誰かに言い寄られてるの?」


食いついてきたのはタカさんだ。


タカさんに、あえて『ちゃん』付けで呼ばれると、なんか裏がありそうでこわい。


私がアワアワしていると、代わりに裕子が答えた。


「同じクラスの男子で、かなり前からみのりを狙ってるやつがいるんですよ。
私は2人はお似合いだ思うんですけどね」


うわあ、ちょっと裕子!


裕子の言うことは嘘じゃない。


でも、リョウさんの前でそんな話をして欲しくなかった。


リョウさんに一目惚れしたこと、照れないで裕子に言っておくんだった……失敗。

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