学生寮
「へー、やるじゃん、みのりちゃん」


意味ありげに言うタカさん。


なんかやな感じ。


「それは断ったんです。
はい、この話はおしまい!」


私は早く話を切り上げたくて早口でそう言った。


隣のリョウさんを盗み見ると、聞こえているのかいないのか、無表情でビールジョッキを傾けていた。


幸い、カンジさんは私より裕子に関心がある様子。


「裕子ちゃんは、どんな男がタイプなの?」


「私より運動神経がよくて、私より頭がいい人がいいですね。
前につきあってた彼と、アミューズメントパークに行った時、体力と知力を競うゲームみたいなのをやったんですよ。
それで、私、彼よりはるかに高得点出しちゃってなんか気まずくなっちゃったんですよね。
私もちょっと彼にがっかりしちゃいましたし。
次は私よりずっといい得点出してくれる人と付き合いたいですね」


裕子は、そんなふうに答えた。

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