学生寮
「ふん、人のことをさんざん面白おかしく言いやがって、自分は言わないつもりか?」


いや、タカさん、さっきのはわざとじゃないし。


「本当に、まだ考え中なんですってば。
来年のクラス分けもあるし、そろそろ真剣に考えないといけないんだけど。
ちなみに、カンジさんとリョウさんは?」


「俺はみのりちゃんのお父さんみたいに商社に勤めて、ワールドワイドに働きたいなあ。
就職の時期になったら、お父さん、紹介して?」


カンジさんは手を合わせて、いたずらっぽくそう言った。


それを聞いた裕子が首をかしげた。


「文学部なのに、商社なんですか?」


「ああ、俺、今のトコはすべり止めだったんだよね。
本当は商学部希望だったんだけど、落ちちゃってさ。
俺の実家は浪人できるほど裕福じゃないから。
それに、文学が好きなのは本当だし。で、ここに来たワケ」


「そうだったんですか。
でも、Q大がすべり止めって、すごいですね」

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