学生寮
「あー、えーと、どうかな?
好きになった人がタイプかな、なーんて」


我ながら卑怯な言い方だったかも。


案の定、リョウさんはそんな答えでは納得しなかったらしく、


「じゃあ、今までに好きになった男は、どんな男だった?」


ああ、墓穴掘った。


「えーと、どうだったかなあ。ああ、優しい人っだったかな」


すると、リョウさんは足を止め、私の顔を覗き込んできた。


「優しいって、どんなところが?」


なんで、そんなにつっこんでくるんですか、リョウさん。


もう私、泣きそう。


「え、ああ、うん、えーと……」


無表情だと、ちょっと冷たい感じのリョウさんの目が目の前にあって、あわあわと答えにならない。


目を泳がせていると、リョウさんがふっと笑って、姿勢を元に戻した。

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