学生寮
その時、リョウさんの携帯が鳴り始めた。


リョウさんは席を立ち、窓際の方へ移動して話し始めた。


どうやらバイト先からみたい。


リョウさんの電話で、うまくタカさんの質問をうやむやにできたとほっとした私は、その隙に自分の部屋に戻ろうと立ち上がろうとした。


ところが。


ぐっと腕をつかまれ、立ち上がれずに浮かせた腰をまたソファに落とした。


「何するんですか、タカさん。
私、もう部屋に戻って明日の予習しないと……」


私のいいわけもタカさんの耳には入らないようだ。


声をひそめて聞いてきた。


「で?リョウに勉強以外のことも教えてもらったのか?」


「そ、そんなことあるわけないでしょ!
何言ってるんですか!」


まったく、タカさんの頭の中にはエッチなことしかないの?!


「でも、リョウのことで百面相してたんだろ?」

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