学生寮
リョウさんを一目見て、できれば会釈くらいしてから閉めよう、そう思っていたら本人の声が聞こえてきた。


「おい、カンジ、
お前の部屋って言ってただろ、
なんで俺に部屋になってんだよ」


カンジさんに文句を言うリョウさんの声。


「だって俺の部屋、汚くってさー。
女の子もいるし、いつも片付いてるお前の部屋の方がいいだろ」


女の子?


「「おじゃましまーす!」」


確かに女性の声。


ぶつぶつ文句を言いながら姿を現したリョウさんは、渡り廊下の正面にある自分の部屋の前に立ち鍵を取り出した。


そして、その左腕にはミナミさんがくっついていた。


また、ミナミさんだ。

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