学生寮
「だって、リョウさんだって、自分の勉強もあるだろうし、バイトも忙しいと思うし、飲み会とかもあるだろうし……」


うん、そうよ。

我ながら上出来じゃない?


タカさんはしばらく無言で私の表情を探っているようだった。


その沈黙と視線がつらかったけど、我慢して平静を装っているとタカさんはフッとため息をついて言った。


「リョウ、最近ここにいること多いと思わないか?」


「…………」


確かに。

バイトがない日は、リョウさん、結構長い時間、食堂にいる。

気づいてない振りしてるけど、チェック済み。

大学の授業を終えて帰ってきてすぐ、夕食の時間前から食堂に来て新聞や雑誌を読んでたり。

夕食が終わると自販機でコーヒーを買って、ソファで本を読んでいることも多い。


本当はいつだって、私はリョウさんを目で追っている。


タカさんの言うとおり、リョウさんは最近、食堂にいることが多かった。

< 82 / 233 >

この作品をシェア

pagetop