学生寮
「俺がチカンだと思って、撃退してみろよ」


そう言われ、悔しくなって本気で腕を自由にしようともがくけれど、少しも動かない。


「男と女じゃ、基本的に体格違うんだから、いくらみのりが鍛えててもかなわないだろ」


そう言い、手を離してくれた。


「女の子なんだから、もっと自分を大切にしなきゃダメだよ」


リョウさんは表情を和らげ、ぽん、と優しく私の頭に手を乗せた。


ほっとしたけど、ちょっと怖かったのと、リョウさんの顔を至近距離で見たのとで、私の心臓はドキドキしていた。

握られていた手首も、ほてって熱い。

うつむいて、少し遅れて歩いた。

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