学生寮
先を歩いていたリョウさんが、しばらくして私の様子が普通じゃないことに気付き、ハッとしたように立ち止まった。


「あ、怖かったよな。
ごめん。大丈夫?」

そう言いながら、背の高い体を折り曲げ、私の顔を覗き込んできた。


うわ、さっきより顔、近いから!


「だ、大丈夫!」


慌てて答え、熱くほてった手首をもむように握ると、

「手首、痛かった?
あざになってない?」

心配そうに私の手を取り、手首を調べ始めた。


うひゃあ、また手を触られた。

もう、耳まで熱いよ!


「ホ、ホント、平気だから!」
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