学生寮
あせって、手を引っ込める。


もうきっと私は、頭のてっぺんから足の先まで真っ赤になってるに違いない。


「そっか?
やりすぎた、ほんとごめんな」

謝ってくれるリョウさんに、首を振った。

「でも、夜は一人で出歩くなよ。
どうしても行かなきゃならないときは俺がいれば俺でいいし、俺がいないときはカンジでもタカでも誰かに声かけて一緒に行ってもらえよ」

「うん、わかった」


リョウさんの優しさが、胸にしみる。


「昔、妹がチカンにあったって逃げ帰ってきたことがあったんだ。
すぐに逃げてきて大事には至らなかったんだけど、それ聞いたとき、俺、血の気がひいた。
それ以来、妹の帰りが遅いときは俺か弟が迎えに行くのが習慣になったんだ」


妹、か……

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