学生寮
「妹思いなお兄ちゃんなんだね……
私はリョウさんにとって、二人目の妹、みたいなものなのかな」


言うつもりなかったのに、気づいたら心の声が口から出ていた。

あせってアワアワしたけど、リョウさんは聞こえなかったのか、そうだとも、違うとも返事をしなかった。


代わりにまったく違うことを質問してきた。


「最近、勉強はどう?
数学、あれっきり聞いてこないけど」


妹だよ、って言われるのもつらいけど、スルーされるのもちょっと微妙。

リョウさん、本当に聞こえなかったのかな?

ああ、でもこの質問もキツイ。

私はあいまいに返事をした。


「うん……」


勝手にやきもちを焼いて、聞きに行けなかったなんて言えない。

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