学生寮
「もしかして俺の教え方、わかりにくかった?」


ブンブンと首を振り否定した。


「そんなことない、
わかりやすかったよ、すごく」


リョウさんは教え上手だ。

おかげで成績上がったし。


「じゃあ、なんで?」


「え、だって……
家庭教師代とってくれないし」


これは言い訳。


「そんなのいいって言っただろ。
俺、教えるの好きなんだよ。
それとも、俺に聞くまでもなく、満点取れるようになった?」


うー、いじわる。

私が唇をとがらせると、リョウさんは微笑んだ。


「だったら、また聞きにおいで。教えてあげるから」


「うん……、わかった」


リョウさんはニッコリ微笑んで、またポンと私の頭に手を置いた。

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