子兎さんは俺様総長のお気に入り


「なんで今まで黙ってた?」




「迷惑かけたくなかったし、自分で解決出来ると思ったの。教科書が無くなるなんて知られたくなかった」




「教科書なら、理事長に言って新しいものを用意できるのにか?」




「そうじゃなくて!あの、数学の教科書じゃないと絶対にだめなの…。
せっかく理王がわかりやすいようにポイントとか書き込んでくれてたものだから⋯」





そこまで言ってハッとする。
私、今本人の前で言っちゃった。



彼を見ると、いつもの悪い笑みはなく固まっていた。



あ、これは聞いてなかった…?
聞き逃しててほしい。




「それで、今まで部屋中を探してたのか?」




ばっちり聞かれてるーー!
今更、違うなんて言えずにこくりと首を1回縦に振る。



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