子兎さんは俺様総長のお気に入り
私の住む地域の不動産屋を、全てピックアップしてメモに残す。
今日は、休日だから一日中不動産屋を駆け巡る予定だ。
全部で10軒ある。
さすがに1つは条件を満たす物件があるはず。
「いや、そんな物件うちにはないな。」
「んー、その条件だと難しいね。」
「申し訳ございません、他を当たって下さい。」
「元々うちは、高級ビルしか扱ってないです。」
「あったんだけどさっき契約してった方が最後だったんだよ。」
…………こんなにないことある?
断られ続けて残り一軒になる。
嫌な予感はしていたけど的中はしたくない。
「あの、すみません物件を探しに来たんです。」
私は、条件を言っていく。
妥協できるところは妥協しているつもりなのに今まで見つからなかった。
最終的に値段が安い所で探しているのに9軒ないと言われている。
「力になってあげたいけどうちにはちょっと無いです。」
断られた瞬間嫌な事が頭に浮かぶ。
島崎理王、あの人がうちに来てからおかしくなった。
“俺に助けてくださいってお願いすることになる”という言葉。
「あの……もしかして誰かから脅されてます?」
「……っ。」
あ、今顔が引きつった。
ほぼ確信に近いかもしれない。
島崎理王の嫌がらせだ。