総長たちによる彼女のためのハロウィン祭り
「こういう素直なところがあるから、侮れないんだよね」
と、部屋の中にいる彼女の事を思い、さっきまで自信満々だった「ラブラブ」が、僅かにグラリと揺れるのだった。
「ねぇ。もう今後一切、明里に会わないって約束してくれない?」
「隣の部屋だから無理だろ」
「……じゃあ引っ越ししてくれない?」
「夜野……お前、本当に心が狭いな」
そんなこんなで。
蒼羽が生吹たちと合流したのは、十時ぴったりだった。
「はぁ、はぁ……」
電車を降りた後は、走って生吹たちの元へ向かった蒼羽。
階段続きだったため息がきれて、到着したころには肩が上下するくらい息切れしていた。
というのに、最恐総長の生吹は、スマホの時計にチラリと目を移し、
「下調べ役、免除だな」
と、二ッと笑うだけだった。