総長たちによる彼女のためのハロウィン祭り

美月の前でのみ発動する「天使モード」の生吹はおらず、現在は「ダーク&クール」の生吹。


なにせ顔が整っているから、顔だけで迫力がある。有無を言わさない、圧倒的な存在感。


生吹に会うまでは「一言でも”無理言ってごめん”って言ってもらわないと」と思っていた蒼羽だが、生吹の姿を見ただけで、その意欲はぷしゅ~と消え失せてしまった。


怒りたいのに、怒れない――蒼羽は悔し紛れに顔を歪めた。



「……本当、ずるいったらないよ」



そんな蒼羽を察したのか「そう怒るな」と生吹。



「目当ての場所は、こっちだ」



わずかに口角を上げて、一輝と蒼羽にきびすを返すのだった。



「お疲れだったな、夜野」

「一輝、さん……本当に疲れた。人を急に呼び出しておいて。なんだ、あの王様総長は」



生吹と少し離れて歩く一輝と蒼羽。

「そう言うな」って、と。一輝は蒼羽の背中をポンと叩いた。
< 32 / 78 >

この作品をシェア

pagetop