総長たちによる彼女のためのハロウィン祭り

何も知らされてなかったんだよ、こっちは!――と喉まで出かかった言葉を我慢して。


蒼羽は「そういう事ね」と、人と衣装でごった返した店内をぐるりと見回す。



「それで”彼女に内緒”ってことね」

「”彼女に内緒”? なんだ、それ」

「自分がメールに書いたんでしょ」



だけど、生吹はすっぱりと忘れていたらしい。


「でもパーティしようって言ったのも、仮装しようってったのも美月だし」なんて、とんでもない爆弾発言をかました。



「秘密でも何でもなかったわけ? はぁ、勘弁してよ。偶然メールを見ちゃった明里なんて”もう一度記憶喪失になろうか”なんて言ってたんだから」



あんまり人の彼女をいじめないでくれる?


蒼羽がそう言うと、生吹は衣装を見るのをやめて、ツイと蒼羽に切れ長の瞳を向ける。
< 35 / 78 >

この作品をシェア

pagetop