総長たちによる彼女のためのハロウィン祭り
何も知らされてなかったんだよ、こっちは!――と喉まで出かかった言葉を我慢して。
蒼羽は「そういう事ね」と、人と衣装でごった返した店内をぐるりと見回す。
「それで”彼女に内緒”ってことね」
「”彼女に内緒”? なんだ、それ」
「自分がメールに書いたんでしょ」
だけど、生吹はすっぱりと忘れていたらしい。
「でもパーティしようって言ったのも、仮装しようってったのも美月だし」なんて、とんでもない爆弾発言をかました。
「秘密でも何でもなかったわけ? はぁ、勘弁してよ。偶然メールを見ちゃった明里なんて”もう一度記憶喪失になろうか”なんて言ってたんだから」
あんまり人の彼女をいじめないでくれる?
蒼羽がそう言うと、生吹は衣装を見るのをやめて、ツイと蒼羽に切れ長の瞳を向ける。