婚約者候補は幼馴染の執事達⁈

第十一章

◯水族館の中
様々な魚やシロイルカ、シャチを見て楽しむ妃那乃と湊斗。
湊斗「あっ、もうすぐイルカショーあるみたいだよ」
湊斗が看板を見ながら言う。
妃那乃「本当だ」
背後から聞き覚えのある声がする。
女「朔弥くーん、イルカショー始まっちゃうよ」
朔弥「…おい、何で俺がお前と2人でイルカショーなんて見なきゃいけないんだ…よ」
湊斗「あれー?朔弥?」
朔弥「…お前ら何でここに」
妃那乃は朔弥の目を見れず下を向く。
妃那乃の気持ちを察した湊斗が妃那乃を抱きしめる。
妃那乃「えっ…ちょっ湊斗…っ」
湊斗は人差し指を妃那乃の唇に当てる
湊斗「見てわかるでしょ?デートだよ。ね?妃那乃ちゃん」
妃那乃は静かにうなづく。
朔弥と湊斗はお互いを見る。
湊斗「妃那乃ちゃん、行こう!」
湊斗は妃那乃の肩に手を置き後ろから押す。
朔弥が後ろから2人の様子を見る。
そんな朔弥を見る女。

◯イルカショー(昼)
中間列の席に座る湊斗と妃那乃。
湊斗「中間の席だけど意外と近いね」
妃那乃「…そうだね」
湊斗「…さっきの朔弥とあの女の事気になるの?」
妃那乃「そっそんなわけ…ない」
妃那乃は一瞬湊斗の目を見るが真っ直ぐに妃那乃を見る湊斗の目を見れずすぐにそらす。
湊斗はため息をつく。
湊斗「わっかりやすいなぁ」
しばらく沈黙が続く。
湊斗「朔弥のどこがそんないいの?」
妃那乃「…」
妃那乃が下を向いてると手を繋ぐ湊斗。
湊斗「朔弥のこと気にしてるのは正直ムカつくけど…妃那乃ちゃんにそんな顔させたくてここに連れてきたわけじゃないし」
妃那乃「湊斗…」
湊斗「せっかく来たんだから楽しまなきゃ」
そう言う湊斗の笑顔は太陽の光が海に反射し眩しかった。
そんな二人の様子を斜め後方の席からみる朔弥。

◯水族館の出口付近(夕方)
女「ねぇ、朔弥くん?怒ってる?私が皆川くんに頼んだの。朔弥くんの事前から気になってて…仲を取り持ってくれないかって」
朔弥「…怒ってない」
女「…ごめんね」
朔弥「…別に謝る事じゃない」
女「あの子…?朔弥くんの好きな人?」
朔弥「え?」
女「…見てればわかる。幼馴染なんでしょ。皆川くんからも聞いてたの。朔弥くんはもしかしたら幼馴染のお嬢様のことを好きなんじゃないかって」
朔弥「あいつ…」
(俺の気持ちバレてたのか…)
朔弥は赤らめた顔を自分の腕で隠す
女「ずるいな。その顔。…ねぇ、あの子を好きでもいい。私と付き合ってくれないかな?」
朔弥「…わりぃ」
女「…そっか。やっぱりダメか」
そこへ妃那乃が湊斗と水族館の出口から出てくる。
二人の楽しそうな笑顔を見る朔弥。
女「朔弥くん…行って。あの子のところへ」
朔弥「え?でもあいつは今、湊斗と…」
女「そんな事関係ないよ。それだけ彼女の事想ってるなら…せめて気持ちはもう一度ちゃんと伝えて。じゃないと許さない」
朔弥「…あっおい」
女が朔弥の背中を押す。
女「いいから行って」
朔弥「…さんきゅ。」
妃那乃のもとに走る朔弥。
その後ろ姿を見つめ涙を流す女。
その時女の携帯に皆川から電話がかかる。
女「…皆川くん?やっぱり私じゃダメだった」
そう言いながら涙を流す女。
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