婚約者候補は幼馴染の執事達⁈

第二章

◯リビング(朝)
食事を食べる妃那乃
妃那乃(はぁ…昨日はあまり眠れなかったな。それもこれもこの三つ子のせいなんだから)
三つ子をみる妃那乃
朔弥「ん?」
響希「どうされました?お嬢様?」
湊斗「食事が口に合わないとか?」
家元「そうなのか?もし口に合わないなら作り直させるが…」
妃那乃「ちっ違うの!食事はすごい美味しいよ」
(あの三つ子…人がこんなに悩んでるのに…)
家元「そうか。それより夏帆さんとの約束の時間は大丈夫かい?」
時計を見る妃那乃
(やばっ、夏帆と9時に駅に待ち合わせしてるのにもう8時半⁈)
急いでご飯を食べる
家元「もし間に合わなさそうであれば車を出すが…」
妃那乃「お祖父様、大丈夫です。今日は車を使わないって決めてるの。行ってきます」
私は玄関のドアを閉め急いで駅へと向かう。


◯駅
夏帆「あっ妃那乃ー!こっちこっちー!」
手を振る夏帆
妃那乃「ごめん、夏帆。ギリギリになっちゃった」
夏帆「いいよいいよ、ほら妃那乃の分の切符買っといたから行こ!」
妃那乃「ありがとう、夏帆!お金あとで返すね」
電車に乗る妃那乃と夏帆

◯電車の中
夏帆「え⁈三つ子が婚約者に⁈」
妃那乃「ちょっ…声大きいよ。婚約者じゃなくて候補だから」
夏帆「あっごめん…三つ子が婚約者候補になったり…見合いすることになったり…やっぱりお嬢様って大変だね。ねぇその見合いする相手とはいつ会うの?」
妃那乃「…お祖父様の話では来週の土曜日だって…」
夏帆「あと1週間か…こりゃ三つ子もうかうかしてられないね」
妃那乃「…夏帆、なんだか楽しんでるでしょ」
夏帆「まぁね。あっこの駅だ、降りるの」
妃那乃「あっ夏帆待って」
人混みがすごくて夏帆と離れてしまった妃那乃。
妃那乃(どうしよう…降りたいのに降りれない)
朔弥「すみません、降ります!通してください」
朔弥に左肩をつかまれながら電車を降りる妃那乃。
妃那乃「さっ朔弥⁈何であんたがここにいるの⁈」
朔弥「耳元でうっせーな。家元から俺達も休みもらってたまたまこの電車に乗っただけだよ」
妃那乃「そうだったんだ、それで響希と湊斗は?」
朔弥「あー…あいつらは…」

◯回想中
財布を落とした女性(実はオネェ)に声をかける響希
響希「あの、落としましたよ?」
女性(実はオネェ)「ありがとう。あら、やだ。あなた、私の好み」
響希「あっ、私達用事がありますので…これで失礼します」
女性(実はオネェ)「ちょっと待って、お礼でもさせてちょうだい。あら、隣の子も可愛い顔」
湊斗「げ…ぼっ僕も用事あるんで…」
女性(実はオネェ)「ふふふ…逃がさないわよ、さぁ、2人とも行きましょ!」
響希と湊斗「助けて〜いやー…」

◯回想終了
朔弥「…というわけだ」
妃那乃「…あんた、2人を置いてったの」
朔弥「あんな所いたら俺まで獲物にされちまうしな、喰われたくねえもん。それに…お前が心配だったんだよ」
妃那乃「え…」
朔弥は妃那乃の耳元に顔を近づける
朔弥「なぁ、助けたお礼くれないの?例えば…『キス』とか」
朔弥は私の顔を見てにっこりと笑う
一瞬、私の胸が高鳴った感じがした
夏帆「あー、いたいた!妃那乃ー!よかったぁ、見つかって…ってあれ?どうして、神崎君がここに?」
朔弥「…別に。こいつが電車の中ではぐれそうになってたから…こいつの事頼むわ」
朔弥は妃那乃の頭に手を乗せ撫で去ろうとする。
それをじっと見つめる妃那乃。
夏帆「あっ待って!神崎君、私達今から映画見に行くんだけどよかったら神崎君も一緒に行かない?」
妃那乃「えっちょっと夏帆…」
慌てる妃那乃
その様子を見る朔弥は口角が少し上がる
朔弥「じゃあそうさせてもらおうかな…」
夏帆「じゃあ、決まりだね!行こっか」
夏帆と朔弥が妃那乃の前を歩き出す。
妃那乃(えーー⁈)

◯映画館の中
妃那乃「うわー…真っ暗だね」
夏帆「そりゃそうだよ、映画だもん。本当に初めてなんだね。ほら、席座ろ?この3つの席ならどこでもいいよ?」
妃那乃「そうなんだ…じゃあ私は…」
左端に座ろうとする妃那乃の手をいつの間にか右端に座ってら朔弥が引っ張る。
朔弥「…お前はこっち」
朔弥に真ん中の席を座らされる妃那乃。
何やらニヤニヤしながら空いた席に座る夏帆。
映画は今人気の恋愛映画のため周りには若いカップルが多い。
上映が始まり私は画面に釘付けになる。
映画で手を繋ぐシーンに差し掛かった時、
朔弥が妃那乃の手を握る。
妃那乃『⁈ちょっ…』
朔弥をみる妃那乃。
意地悪に笑う朔弥。
朔弥『なに?』
朔弥は自分の手を妃那乃の手に絡めるように握る。(恋人繋ぎ)
顔を赤らめるのを隠すように下を向く妃那乃。
映画の内容が入ってこないくらいに心臓が高鳴ると共に何が起きてるかわからず状況掴めない。

◯映画間の外
夏帆「映画すごくよかったね!観てるこっちもめちゃドキドキした」
妃那乃「うっうん、そうだね」
(結局途中から映画の内容入ってこなかった…朔弥はずっと手を繋いでくるし)
夏帆「あれ?妃那乃、少し顔赤くない?大丈夫?」
妃那乃「うん、大丈…」
妃那乃が大丈夫と言いかけた時、朔弥の顔が妃那乃の顔に近づき、おでこをくっつける。
さらに顔が赤くなる妃那乃。
そんな妃那乃をみて朔弥は笑みを浮かべる?
朔弥「…わりー。こいつ、熱あるっぽいから連れて帰るわ」
夏帆「え?わかった、気をつけてね。妃那乃お大事にね」 
妃那乃「えっ熱なんてな…ん⁈」
朔弥は妃那乃の口を押さえながら妃那乃を引きずって歩く。
妃那乃(⁈えーー⁈何考えてんのこいつ⁈)

◯電車の中・昼
妃那乃を席に座らせ、前へ立つ朔弥。
妃那乃(本当…朔弥のやつ何考えてんだか…)
朔弥「何だよ、人の顔じっと見んな。まさか…惚れた?」
妃那乃「ばっ…そんなわけないでしょ。私達は執事とお嬢様なんだから…」
朔弥「婚約者候補でもあるけど?」
妃那乃「それはあなた達がお祖父様にそう言ったからでしょ…私はあなた達三つ子だけは絶対好きにならないから。執事となんてあり得ないもの」
朔弥「…ふーん。まぁいいけど…俺はお嬢様としてじゃなく如月妃那乃としてお前の事好きだから…それだけは覚えといて」
妃那乃(朔弥…)
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