婚約者候補は幼馴染の執事達⁈

第六章

◯妃那乃の部屋・朝
土曜日(見合い当日)
見合い用の着物に着替え終えた妃那乃。
響希「お嬢様…すごくお似合いです」
湊斗「うん。いいんじゃない。その花の髪飾りも可愛い」
朔弥「…」
妃那乃「…や、朔弥?朔弥どうしたの?ぼーっとして」
朔弥「…いや、なんでもねーよ」
湊斗「あれれ?朔弥、顔真っ赤だよ」
朔弥をいじる湊斗。
朔弥「あっ赤くなんてなってねーし、バカじゃねーの」
朔弥は赤い顔を隠すように腕を口元に持ってく。
家元「妃那乃、準備はできたか?」
妃那乃「はい」
家元「うむ。よく似合っておるな。母さんに似ておる。では行こうか」
家元の後に続き妃那乃が部屋から出ようとすると朔弥が妃那乃の手を掴む。
妃那乃(え…?)「朔弥…?」
朔弥「わっわり…」
家元「妃那乃、行くぞ」
妃那乃「あっ…はい」
妃那乃は家元のところまで走る


◯旅館(見合いの場所)・昼12時前
旅館に着くと部屋に通される。
相手の方はまだおられなかった。
妃那乃「お祖父様、時間早いし外を散歩してきてもよろしいでしょうか?」
家元「ああ…構わないが…今日は執事は会議に参加してるから誰もつけれないが大丈夫かね?」
妃那乃「大丈夫です。その辺の庭を散歩するだけですから」
家元「わかった。ではお見合いは12時半からだからな。それまでには戻るように」
妃那乃「わかりました。10分前には戻るようにします」
妃那乃は家元にそれだけ伝えると部屋をあとにした。

◯旅館の庭 12時10分頃
妃那乃は庭に咲いてる花や鯉をみたりして庭を散策したあと、一本の橋の上から川を覗き込んでいた。透き通ったような鏡のような綺麗な水にうつっている自分の顔を覗き込む妃那乃。
後ろから誰かに声をかけられ振り向く。

男「…如月妃那乃さん?」
妃那乃「え?そうですけど…あの…どちら様ですか?」
高瀬「あっ申し遅れました。僕、今日のお見合い相手の高瀬と言います」
妃那乃(…この人がお見合い相手か)
妃那乃は男をじっと見る
高瀬「…あの?何か?」
妃那乃「あっいえ!何でもありません」
高瀬「そうですか。では、あちらにある椅子に移動してお話でもどうですか?」
妃那乃「あっ…ぜひ」
男の後についていく妃那乃。
妃那乃がふと川をみると…後ろに別の黒のキャップ帽子を被った男がついてきているのに気づく。
高瀬「…どうかしました?」
妃那乃「あの…後ろに誰かついてきてるんですけど…」
高瀬「…あぁ、後ろの彼は僕の友人です。気にしないでください」
妃那乃「え…?でも…何で友達がここに…?」
妃那乃が聞くと高瀬は立ち止まる。
高瀬「…それはあなたをここから連れ出すお手伝いをしてもらうためですよ」
妃那乃「え…なっ…んん」
男が後ろから妃那乃の口をハンカチでおさえ、ぐったりした妃那乃の体を高瀬が支える。
高瀬の車に妃那乃を乗せ、その場を去る。
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