タオル係の、独占欲。(短)






「やっと決まったねぇ、文化祭の実行委員」

「本当、本当。こっちは部活あるってのにさぁ」



「ってか“知らんぷりちゃん”、見た?今日もずーっと、机に伏せててさぁ」

「見たみた!寝る暇あんなら、知らんぷりちゃんが委員やれっての」



なんて声が廊下に響く、放課後。

オレンジの夕日が、ゆっくりと校舎に影を落としていく夕方の17時。

胸の内をさらけ出しきってないのか。女子高生二人の内、一人が再び口を開く。



「結局、緒都(おと)くんが立候補してくれたから良かったけどさぁ 」

「は〜、マジいけめん緒都くん!顔もいいし性格もいいし、神だね。あれは」



「でもさぁ、緒都くんって日ごろ無気力じゃん?」

「思った〜。なんで文化祭の実行委員は、やろうと思ったのかな。気分?」



あははー!と、互いの背中を叩きながら、長い廊下を歩き終え、下駄箱に向かう二人。

それにより、校則により履くことが義務付けられているスリッパの音は、何一つ聞こえなくなった。
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