タオル係の、独占欲。(短)
「誰かに気にかけてもらえるのは幸せなこと、って。そーゆー事です」
「そ?」
「そうです。だから私は、今日のタオルの事を一生わすれません」
「……」
バサッ
また声を震わせた私の顔から、緒都くんがタオルを取った。すると、二つの視線が、再びぶつかり合う。
「お、緒都くん……?」
「……」
茶色の瞳が容赦なく私を捉え、そして囲む。
「それさぁ」
「え?」
ガガ、と。
緒都くんはイスごと私に近寄った。最初からさほど距離のなかった私たちは、すごいスピードで幅を狭める。
だけど、近い距離に戸惑っているのは……どうやら私だけらしい。肝心の緒都くんはというと、ブーと。ふくれっ面をしていた。