タオル係の、独占欲。(短)

その人は目だけでなく、髪の色素も薄いのか、薄茶色の髪だった。

長い手足は机に収まり切ってなく、何故か私の方を向いている。



「やっと起きた」

「……ずっと、起きてました」



少し呆れたように笑いながら「やっと起きた」なんて言うものだから、思わず言い返してしまった。


ずっと私は起きてました。
ただ、うつ伏せてただけです、と。


すると、その人は「知ってる」と。ピアノの鍵盤、その右側を強く押したような、そんな高い声で笑った。



「君っていつもうつ伏せてるけど、いつも寝てないよね」

「……はい」

「不思議だなって、見てたんだ」



“私を見てる”と言ったその人は、私を見た後、ゆっくりと口角を上げた。

猫っ毛なのか、毛先がフワフワしていて……そのぼんやりした感じが、その人の雰囲気とよく似ている。
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