タオル係の、独占欲。(短)
「か……帰らないんですか?」
「帰らない。実行委員だから。文化祭の事を考えなきゃ」
言いながら、持っていたシャーペンをクルリと綺麗に回した「その人」こそ。さっき女子が騒いでいた、緒都くんなのである。
「みんな、何したいかなぁ。いい案ない?」
「えっと……」
急な振りにも、真面目に考えてしまうのは……私のいい所なんだか悪い所なんだか。
「劇、は違いますよね。合唱……も普通だし、えっと……」
「……」
「……あ、」
みんなで一致団結して、思い出に残る「何か」をやる――そう思っただけで、私の視界はぼやけてきた。
「ちょっと……、タンマです」
熱くなった目頭に、ちょいちょいとハンカチを当てる。緒都くんにバレないように、見つからないように。