タオル係の、独占欲。(短)

「……っ」



バレないうちに早く涙が引っ込まないかな、と。そんな事を思っていた時。



「これ、使って」

「え……?」



顔を伏せた私の頭上に置かれた、柔らかいもの。

おそるおそる手で触ってみると、これは……タオル?



「なんで、タオル……?」

「俺ハンカチ持ってないから」

「いや。タオルも、ハンカチも……なぜ今?」



顔を上げて言うと、緒都くんは驚いた顔をした。そして実際に「ビックリした」と口にしたのだ。



「泣いてるのかと思ったら、泣いてないの?」

「え……?」



タオルにビックリしすぎて、涙は引っ込みました――とは言えないまま。

私は緒都くんの、次の言葉に耳を疑う。
< 7 / 72 >

この作品をシェア

pagetop