タオル係の、独占欲。(短)

「だって小竹さん、いつも泣いてるじゃん」

「!」



“いつも”って……。

席替えをして、緒都くんと隣の席になったのは一週間前。もしかして、その時から私のことを見て――?



「気づいてたんですか……?」

「うん。何に泣いてるかは知らないけど、めっちゃ泣くじゃん? 小竹さんは隠そうとしてるけどさ、さすがに隣の席だったら丸見えだから」

「ま、丸見え……」



その言い方は、なんか。その、恥ずかしい。


だけど、こんな私に気づいてくれる人がいたなんて。その事に心が温かくなって、またジワリと涙腺が緩んだ。


もちろん。隣の席にいる緒都くんは、私が泣きそうなのに気づいて……

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