タオル係の、独占欲。(短)
「強情。ホラ、使いなって」
「わふっ、」
私の頭の上に置いたままだったタオルを、強引に顔にあてた。避ける私を捕らえて、ぼふんと。タオルを押し付ける。
「め、面目ないです……っ」
「ふっ、いえいえ」
席に座ったまま、顔にタオルを押し付けられている私と、押し付けてくる緒都くん。
タオルしか見えない視界をいい事に。正直に、思ったことを口にしてみる。
「今まで、私を気にする人なんていませんでした。私も、それでいいと思ってました。でも……」
コレはコレで、いいもんですね、と。
タオルの下で静かに笑うと、不思議なことに。緒都くんも「なにそれ」と笑ってくれた。