切ないほどに、とろける恋
奏斗side

ミヤと一緒に暮らし始めたのは、高校に入ったばかりの頃だった。
高校生になってから、両親と離れて暮らすようになり、寂しい毎日を送っていた俺にとって、ミヤは癒しの存在だった。



帰ってくると、いつも「おかえり」と出迎えてくれるミヤ。
寝る前に「おやすみ」と言ってくれるミヤ。
朝の目覚めが悪い俺に「起きて」と言って起こしてくれるミヤ。

話す言葉は違うけど、どこかで通じ合っている、そんな気がしていた。

そんなミヤが、俺が学校に行っている間、家から出て行ってしまった。
しかも大雪の日に。


学校帰りの通学路で偶然ミヤに出くわした。
最初はミヤによく似ている猫かと思った。
だけどよく見ると、見慣れた模様と金色に輝く瞳に懐かしさを覚えた。
『あっ!』と思いミヤと目が合った瞬間、ミヤは追いかける隙も与えないほどのスピードで走り去ってしまった。

一緒に下校していた友達に一言詫びて、急いでミヤが逃げて行った方へ向かった。
探しても探しても、ミヤは見つからず、泣きそうになりながら一旦部屋に帰った。

するとミヤは何事もなかったかのように、俺のベットでに潜り込んで眠っていた。
ただ1つ、家を出る前と比べて変わっていたのは、閉めておいたはずの窓が空いていたこと。
部屋の中に冷気が流れ込んていた。
たぶん、ここから外に出たんだろう。

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