切ないほどに、とろける恋
「行ってきまーす」
奏斗くんは、いつもよりだいぶ厚着をして玄関のドアを開けた。
外から冷たい空気が流れてくる。
思わす耳が震えた。
「行ってらっしゃい」
大きな声で、奏斗くんを送り出した。
奏斗くんが学校に行ったことだし、私も外に出る準備をしなきゃ。
でも、どうやって家の中から出よう。
考えてもいい方法が思い浮かばない。
気づいたら、長い時間考えていた。
少しだけ眠っていた時間もあったかも…
考えていても方法が見つからないから、思い切って行動してみることにした。
出られそうなところがないか、家の中を探し回る。
すると、鍵がかかっていない窓を見つけた。
奏斗くんが鍵を閉め忘れたのかも。
家の中から外に出るのは思っていたより簡単だった。
鍵を閉め忘れた窓を前足で開ける。
窓を開けるのに、それほど力は必要なかった。
窓を開けたままにして外出したら、泥棒が家の中に入ってしまうかもしれない。
泥棒が入ってこないように、早めに戻ってくることにした。
窓を開けると、まだ雪はしんしんと降っていた。
外がいつもより静かだ。
家の中の暖かい空気が、ふわっと外に出て行く。
気合を入れて外に出る。
アパートの外階段を、とんとんと降りて、雪の積もった地面に足をつく。
想像していた以上の冷たさが私の肉球を襲う。
ぶるりと震えると、あの暖かい部屋が恋しくなった。
だけど、せっかくの機会だ。
奏斗くんを見つけよう。