君が死ねばハッピーエンド
「シイナ?どうした?」

朔はすぐに出てくれた。
全然眠たそうな声にも聞こえなくて、朔は休日でも早起きなんだなって思った。

「バイトは?」

「その…無しになって…しばらく…」

「しばらく?何かあった?…とにかく会おう。今から会える?」

「うん…朔は?何か用事があったんじゃない?」

「大丈夫。今日も会いたいって言ったのは俺だろ。思ってたより早く会えて嬉しいよ。えっと、今どこ?」

「まだ駅前」

「バイト先には行ったんだ?じゃあ、ごめん。俺が駅前に行くよりも、シイナも俺もシイナの家に向かったほうが早く会えるかも」

「ううん。私が朔の家に行くよ。そのほうが朔もラクでしょ?」

「いいよ。なんかあったんだろ?人んちより自分の家のほうが落ち着くだろ?」

「ありがとう…。じゃあうちで待ってるね。今日はパパもママもお出掛けするの。十時には家を出るって言ってたよ」

「そっか。じゃあまた後でね」

「うん。バイバイ」

電話を切った時には手の震えは止まっていた。
朔の声で落ち着いたのかな。

もう起きてたみたいだけど、SNSで騒がれていることは知らないみたいだった。

私の目の前でアプリをアンインストールしていた。
本当に違うアカウントも持っていなくて、あれ以来インストールもしていないのかな。

朔は約束を守ってくれている。
それだけで“朔は味方だ”って安心できた。

電話を切ったスマホのスクリーンは、メッセージアプリに通知マークが付いていて、ちーちゃんからのメッセージを知らせている。

タップしてアプリを開く。
表示されたメッセージには「大丈夫?」の文字。

まだメッセージを開いていないから続きがあるかは分からない。

でも、やっぱりちーちゃんにはすぐに分かるんだ。
きっとクラスメイト達も…。
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