君が死ねばハッピーエンド
月曜日。

登校したら先に来ていたクラスの女子達に囲まれた。

「シイナちゃん!大丈夫!?」

やっぱりみんな知ってるんだ。
私を囲む女子達は、カフェによく来てくれる子達だし、そうじゃなくても噂は広まっているみたいだった。

「大丈夫だよ。バイトはしばらく休むし、学校でもちゃんと気をつけるから」

「でもアレはさすがに…悪戯とかじゃないもんね?怖いよ」

「うん…そうだね。でもみんなには迷惑かけないようにするから。ごめんね、不安にさせて」

「不安なのはシイナちゃんなんだから謝らないで!私達に助けられることがあったら言ってね?」

文化祭の時は朔と担任以外、全員が敵だった。
今度は私が被害者だから?
可哀想だから?

ほら、やっぱり疑心暗鬼…。
こんな風景も犯人がどこかで見ていると思うとゾッとする。

その日から移動教室の時は家から持ってきた小さいバッグに貴重品を入れて、本当は禁止だけどスマホも電源を切って持ち運んだ。

体育の時は先生に事情を話して鞄も着替えた制服も体育館や運動場の見える位置に置かせてもらう。

私物に関してはここまで徹底しないと怖かった。
正直、朔の盗聴器の件で学んだ、とは言えなかったけれど。

学校ではトイレに行くのも必ずちーちゃんと行動を共にした。
朔も常に私の周囲に気を配ってくれているみたいだった。

不審な人物は居なかった。
みんなが“普通”に見えた。

それが余計に怖かった。
< 105 / 156 >

この作品をシェア

pagetop