君が死ねばハッピーエンド
どれだけ名前を呼んでも朔は戻らなかった。
電話にも出てくれない。

ちーちゃんに連絡しても、文化祭の時みたいに、返信は無い。

私、全部無くしたよ。
友達も恋人も、尊敬していた先輩も。

先輩を信じてるって連絡を返せば、
先輩は絶対に犯人じゃないって言ってあげれば、きっと私と先輩、二人だけの世界は救われるだろう。

でも先輩は絶対に無関係だって言い切れる根拠は無い。
先輩を守って、それで私も守られて、その先にあるのは、大切な人達からの“軽蔑”かもしれない。

私はたぶん、朔のこともちーちゃんのことも裏切ったんだろう。
私の為に動こうとしてくれた人達を、私は自分の感情だけで裏切ったんだ。

「もういらない…」

一人っきりの部屋で呟いた声は誰にも届かずに消えた。

もう何もいらないから。
私の為に傷ついてしまった人達を救って欲しい。

日常を返してあげて欲しい。
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