君が死ねばハッピーエンド
″少し考えさせて。シイナを大切に思う気持ちは変わらない。シイナが苦しんでるのに自分の感情ばっかりを押し付けることはしたくない。でもシイナを目の前にすると冷静で居られなくなる。少し時間が欲しい″

そのメッセージが朔から届いたのは十二月二十日。
私が休学して二週間以上が経っていた。

″本当にごめんなさい。私も朔とちゃんと話がしたい。まだ解決してないって思ってる。朔が大事だからこそ、ちゃんと話したい″

朔が家に来てくれた日から、初めての連絡だった。
声を聞けないのは寂しい。
本当にもう終わりなのかなってすごく不安だった。

だけど朔がくれたこのメッセージにはまだ希望が残されてるんじゃないかって思えた。

″朔にばっかり甘えててごめん。もう誤魔化したりしないから。ほんの少しでも時間をもらえるなら、また連絡ください。会いたい″

そう送ったのが最後。

既読のマークが付いたそのメッセージが、朔にちゃんと届いているだけでも十分だった。

私がまだ許されるなら。
ちゃんと朔が大切だって。
朔と離れることが一番苦しいって伝えられる時間が貰えるなら。

その希望があるだけで、ほんの少し涙が止まった。

渚先輩には店長に言われた通り連絡はしなかったし、先輩からも無かった。
この提案をしてくれたのは私達への、店長の愛情だと思う。

私だけじゃなくて、渚先輩のことも守ろうとしているんだ。
本当に事件が解決するまでに、また憶測だけで私達が追い込まれてしまわないように。

でも、本当に別に犯人が居るのなら一体誰なのか。
何度考えてみても、やっぱり見当はつかない。

顔見知りなのか、全く知らないストーカーなのか。

私が解決しなくちゃいけないのはそれだけじゃなくて、ちーちゃんとももう一度ちゃんと話がしたかった。
私のこれからの人生で、ちーちゃんが居ないことだって受け入れることはできない。

自分の平和の為だけじゃない。
事件を解決することは、大切な人達との時間を取り戻すってことなんだ。
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