君が死ねばハッピーエンド
ちーちゃんのボトムの裾を掴んで、勢いで立ち上がった。

よろけたちーちゃんが後ろに下がって、壁に背中を付ける。
もう逃げ場は無い。

「シイナちゃんっ…!」

「シイナには無理よ!できっこない!」

「できるよ。ねぇ、覚悟が必要なんでしょう?大切な人を守りたいなら、自分の未来を守りたいなら。ちーちゃんが教えてくれたんだよ」

刃が食い込んだ手の平からポタポタと血が流れ始める。
私の血は、ちーちゃんのよりも薄い。きっと朔の血よりも薄いのだろう。

左手で強く握ったハサミをちーちゃんに向けて…思いっきり振りかざした。
ちーちゃんが目をギュッと閉じて俯くのが見えた、気がした。

ズブリ、と感じたことの無い感触がした。
それと同時に石がいっぱいある地面にシャベルを突き立てた時みたいな固い感触。

ハサミを突き立てられた、鎖骨の下辺り。
白いシャツに、朔の血が鮮やかな花のようにブワッと広がった。
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