君が死ねばハッピーエンド
九時。高校生バイト組と店長の退勤時間になった。

厨房にいるスタッフにも声をかけて、事務所に入る。

いつもならここで、更衣室の取り合いになる。

今日は私と渚先輩、それから私と同い年の女子が一人と店長の四人。

二個しか無い更衣室を、私も渚先輩も他の二人に譲った。

「シイナちゃん、いいの?」

店長と女子が申し訳なさそうに聞いてくれた。

「私、明日のバイトは休みだから持って帰って洗濯したくて。それならもう着替えるのも面倒だしこのまま帰ろうかなって!エプロンだけ外してパーカーを羽織れば別に気にならないし」

「意外とワイルドなんだね。でも俺も洗濯したかったし、そうしようかな」

「ありがとう。次は私が譲るからね!」

「あはは。ありがとう」

二人が更衣室に入ったから、私達はそこから離れた。

エプロンのポケットからロッカーの鍵を取り出す。

つもりだった。

無い。

いつも着替え終わった後は必ずエプロンのポケットに入れるのに。

そうだ!更衣室の小棚の上に置きっぱなしかもしれない!

ドキドキと鳴る心臓を落ち着かせて、私は更衣室のほうへ駆け寄った。
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