君が死ねばハッピーエンド
今日、私が着替えをしたのは、今店長が使っているほう。

「店長、お着替え中なのにすみません。足元の棚にロッカーの鍵、ありませんか?出勤の時に起き忘れちゃったかもで…」

「えーっと、鍵…は無いわよ?」

「え…」

どうしよう…
鼓動がますます速くなった時だった。

「あー、そうだシイナちゃん。これでしょ」

制服のスラックスのポケットを探りながら、渚先輩が私に近づく。

「あった、あった」

はい、って差し出された渚先輩の手にはロッカーの鍵が握られている。

私の鍵だってすぐに分かる、見慣れたうさぎのキーホルダー。

「それです!でもどうして?」

「夕方、一瞬落ち着いた時間帯あっただろ?事務所か休憩室の掃除でもしようかなって思って、そしたら見つけたんだ。シイナちゃんのだったんだね。良かった」

「ありがとうございます!助かりました!」

「いいえ」

「見つかったー?良かったね」

更衣室から店長が言ってくれて、お礼を言って、私達はまたロッカーのほうへ行った。

本当に安堵して、肩で大きく息をつく。

今度こそ、鍵穴に差し込んで、”OPEN“のほうへ鍵を回す。

…回らない。

頭の中にクエスチョンマークが飛び交う。

”CLOSE“のほうへ、試しに回してみる。

カチャンッて音がして、ロッカーの鍵が閉まった。

そんなはずはない。
ロッカーを閉めた時に、一度扉を引いて、ちゃんと施錠できていることを確かに確認したのに。
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