君が死ねばハッピーエンド
そう言えば渚先輩は、この鍵が私の物だってなんとなく分かっているみたいだった。

キーホルダーを付けてるし、使ってるところを何度か見て、憶えていたのかもしれないけど…。

「先輩」

「ん?」

「あの…すみません…その、この鍵、使いました?」

「…使ったって?」

「いや…私、出勤の時は鍵を閉めた記憶があるんですけど、今は開いてたみたいだから…勘違いですかね…。すみません、失礼なこと言って」

「ごめん、使ったって言えば…使った、かな」

「え…なんで…」

渚先輩が気まずそうな顔をした。

「俺さ、高校生組のバイトリーダーじゃん。一応、監査項目でロッカーの施錠確認と、抜き打ちできちんと行われてるかチェックできるんだよ。それで、鍵を拾った時に誰が置き忘れたのか確認する意味でも開閉作業をしたんだよ」

「そう…ですか…」

「ごめん。でも信じて。扉を開けるまではやってない。絶対に。どのロッカーか確認しただけだから。でも拾った時点で店内で共有すれば良かったね。本当にごめん」

「どうした?」

着替え終わった店長が、私達の雰囲気を察して、近づいてきた。

「店長、俺が…」

「いいんです!」

「え…」

「店長、私が鍵を置き忘れてしまったから、気をつけるように指導を受けてたんです。すみません。これからはきちんと管理します」

「うん、そうだね。これから気をつけようね。防犯対策としても」

「はい」

「シイナちゃん…」
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