君が死ねばハッピーエンド
「シイナ」

「え?」

不意に名前を呼ばれて振り返ったら、朔が居た。

「朔…?どうしたの!?」

「もうそろそろかなって思って待ってたんだ」

「え!いつから?」

「六時くらいに学校を出たから、そこからかな」

「どこで待ってたの?」

「ここで」

ここ、と言って朔は指さした。
今さっき私達が通り過ぎたばかりの建物は図書館だ。

「前を通り過ぎてんのに、シイナ全然気づかないんだもん」

「ごめんね!暗かったから」

「いいよ」

店長と渚先輩の前なのに、朔が私の頭を撫でた。

「あれ、もしかして彼氏?」

店長が茶化すように声を上げた。

「初めまして。シイナがお世話になってます」

「彼氏って言うより兄かなんかだな」

店長が笑いながらペコッと頭を下げる。

「俺は会ったことあるよね」

渚先輩が朔に言ったのに、朔は何も言わなかった。

慌てて二人を交互に見たけれど、渚先輩はあんまり気にしていないみたいだった。
< 20 / 156 >

この作品をシェア

pagetop