君が死ねばハッピーエンド
「さーてと、私達は行くから」

店長が朔に「今度お店にもおいでね」と声をかけて歩き出した。

「シイナちゃん、またバイトで」

「あ、はい。お疲れ様です」

手を振る二人に会釈をして、その背中を見送った。

朔がこんな時間まで待っていたことは正直驚いた。
約束をしていたわけじゃないし、バイトが終わる時間はいつもだいたい同じだから分かってたとは思うけれど、もしかしたらすれ違ったまま会えなかったかもしれないのに。

「朔。こんな風に待ってなくていいからね」

「こんなに暗いのに一人で帰らせられるわけないだろ」

「一人で帰るなんて滅多に無いから。一緒に上がった子達と帰るし、今日みたいに男子だって居るし」

「じゃあ、あいつと二人のこともあるんだ?」

「え…?」

朔が一歩近づいて、スッと私を見下ろしている。
夜の街灯に照らされる朔はゾッとするくらい冷たい目をしている。
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