君が死ねばハッピーエンド
「一個だけだよ…」

「え?」

私の声に、みんなが一斉に私を見た。

「一個だけじゃん。この棺さえ作り直せばいいんだから。誰がやったとか、原因とか、確かに大事かもしれないけど…それよりも早く元に戻さなきゃ。あと二週間くらいはあるからきっと間に合うよ。私、余ってる段ボールとか無いか探してくる!」

今日、作業をする為に机や椅子も全て掃除の時間みたいに、教室の後ろに集められている。

その空いた空間の真ん中でボロボロになった棺。

なんとか元に戻さなきゃ。

「俺も行く」

「私も美術室から絵の具とか借りてくるね」

「それなら私も行くよ。美術室の鍵は私が借りやすいし」

ちーちゃんが言って、教室を出て行った。

私と朔、それから大道具係の人達が、校門の装飾を担当している実行委員の生徒の所や、他のクラス、先輩や後輩の教室も回った。
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