君が死ねばハッピーエンド
「シイナー、お友達来てるわよー」

その日の夕方六時頃だった。

午前中のうちに早退してきたっきり部屋にこもる私を、ママはそっとしていてくれた。

そのママが、いつも朔が迎えに来てくれた時と同じように私を呼んだ。

ちーちゃん…のことならママは“お友達”とは言わない。
朔のことも。

このタイミングでわざわざうちに来る人…と考えたけれど思い浮かばなかった。

私の家は玄関から二階の天井が吹き抜けになっていて、落下防止として作られた衝立から下を覗くことができる。

そこから見下ろして見た顔は、クラスの中心的グループの女子達と、委員長だった。

ドクンッと心臓が鳴る。

何をしに来たんだろう…。
不安だったけれど、階段をゆっくりと下りてきた私に、女子達が「シイナちゃん…!」って言った。

「ママ、ちょっと出てくるね」

「上がってもらえばいいじゃない!」

「ごめん、部屋散らかってるんだ…」

玄関に出しっぱなしにしているサンダルをつっかけて、女子達と一緒に玄関を出た。

早退してきたし、いつもと違う人達が家まで来たし、きっとママは心配してるだろうな。

だけどママは何も言わずに見送ってくれた。
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