君が死ねばハッピーエンド
「…せっかく来てくれたのにごめんね。部屋の片付けサボっちゃってて」

「ごめん!」

「えっ」

中心の女子がバッと頭を下げる。
それに続いて他の子達も頭を下げて、口々に私にごめんって言った。

「私がしっかりしなきゃいけなかったし、あの時、まるで関係無い第三者みたいな顔して、ただジッと事態が収束するのを待ってた。情けないし恥ずかしい。守ってあげられなくてごめんなさい。クラス委員、失格だね」

委員長が泣きそうな目で私を見てる。

ふるふると小さく首を横に振ることしかできなかった。

「シイナはずっと話を聞いて欲しいって言ってたのに、先生が言った通り、今更シイナは犯人じゃないって言うことが怖かった。一度強く、こんなにシイナを責めたのに今更違いましたって認めることが怖くて…」

「でもそのたった一回の勇気でシイナちゃんは救われたのに…」

「私達、正義感を振りかざしながら結局は自分の保身ばっかりで、だんだん、みんなもそう言ってるんだから…私達だけじゃないって…引き下がれなくなって…本当にごめんなさい」

みんなが私に向ける言葉を私はジッと聞いていた。

みんな、本当は泣きそうなんだと思う。
声が震えているし、私の顔をしっかり見てくれている瞳には、今にもこぼれ落ちそうな涙が溜まっている。

でも誰も泣かなかった。
自分達に泣く権利なんかないって思ってるみたいに。

もしかしたら私の前で泣かないようにしようねってみんなで約束したのかもしれない。
唇を噛んで、涙を堪えてるって分かった。
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