君が死ねばハッピーエンド
意味をよく把握できないまま、私は言った。

「私も嘘ついた」

「体調悪くないの?」

「うん。恥ずかしかったの。水着を見られるのが」

「誰に?」

「…朔くんに」

ふーって、朔が息を吐く音が聞こえた。
どう思っているのか、怖くて朔のほうは見れなかった。

「二人だけの秘密な」

「秘密?」

「うん。俺らは共犯。だから二人だけの秘密にしよう」

あの時の朔は、私が言った言葉の意味をちゃんと受け取ってくれていたのかな。

でも「秘密」って言ってはにかむ朔の表情が、私の気持ちを受け入れてくれているみたいで嬉しかった。

だけど、私は私が海に行かなかった本当の理由を、その日中にちーちゃんには打ち明けた。

朔のことは言わなかった。
コンビニで会ったことも、一緒にアイスを食べたことも。

海から帰ってきて心配してうちまで様子を見に来てくれた親友に、黙っていることができなくて打ち明けた私に、ちーちゃんは「見抜いてるわよそんなこと!」って言った。

「気づいてたの?」

「当たり前でしょ。あんたが朔くんを好きなことも、水着を選んでる時点で浮かない顔してたことも。今回だけだからね、許すのは!」

呆れた口調だったけど、ちーちゃんは優しい。
いっぱいごめんねって言って、
今度は二人で海に行こうねって抱きついたら、「あんたとは海の約束はしなーい」って軽くあしらわれた。
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