ミル*キス

 ―――――
 すぐ来て!
 来なきゃ死ぬ
 ―――――



焦点の合わないような目で画面をぼんやり見ていたコウカさん。


「えへぇ。ごめんね」と笑う。


本気で死ぬつもりなんてないんだろうけど。


それならなおのこと、こんなこと簡単に言ってほしくない。


死ぬのは勝手だけど、他人を巻き込むな。


なんて思ってしまうオレ……ってやっぱ人としてどうなの?



それからポツリポツリと話し出したコウカさん。

話の内容はだいたい予想したとおりだった。



こういう時の対処法をオレはよくわかってる。


とにかく否定しちゃダメだ。

うわべだけの言葉で励ますのもNG。

説教なんてたれたらどツボにはまる。

だったらどうすればいいかというと。

ひたすら聞くのみ。


うんうんと。

そうかそうかと。

そしてもしも尋ねられたらこう答える。


「うん。オレもそう思うよ」



オレは無心になる。

彼女の心を映し出す鏡になる。


そして吐き出す愚痴を吸収してやる。

< 123 / 276 >

この作品をシェア

pagetop