ミル*キス
「はぁ……はぁ……」


肩を上下させ、荒い息を吐き出す。


蛇口を全開にして、何度も口の中をゆすぐ。


洗面所に、オレの悲痛な声と蛇口から流れる水の音が響く。



――キュ

蛇口のレバーを下げ、

なんとか落ち着いたところで顔を上げると、横からスッとタオルを差し出された。


「あのぉ……大丈夫ですか?」


「大丈夫ちゃうわ!」


オレはミーコの手からタオルをひったくった。


「お前、オレを殺す気か!」

「殺すって……そんな大げさなぁ。キスしただけじゃないですか! そこまで嫌がられると、さすがのあたしも結構、傷つくっていうかぁ……」


洗面所から出たオレの後をミーコがパタパタとついてくる。


「お前、ミルキー食ってるやろ」


「え? ああ……わかりました?」


そう言って、ペロリと舌を出す。

その先に乗っている小さな白い塊。

紛れもなくオレの天敵ミルキー。

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