ミル*キス
オレは難攻不落の要塞(またの名を、スミレさんの住むマンション)を見上げた。
ここに着いた途端、スミレさんはさも当然と言わんばかりに口を開いた。
「じゃ、CD取ってくるから、ここで待ってて」
「え……?」
そしてオートロックを解除すると、ポカンと口を開けたままのオレを残し
一人だけ自動ドアに吸い込まれていった。
せめてエントランスの中ぐらいには入れてもらえてもよかったんじゃないの?
部屋番号をオレに知られたくないってか?
やっぱりスミレさんとオレの間には、どうにも崩せない厚い壁が存在するようだ。
はぁ……とため息一つ。
なんとなく湿っぽい匂いがすると思っていたら、道路にポツポツとシミが出来始めた。
そしてそれは一気に本格的な雨へと変わっていった。
ここはひさしがあるから大丈夫だけど。
傘持ってないから帰りは濡れそうだな。
なんて考えていたら、ドアが開く音がした。
振り返ると、CDを手にしたスミレさんが立っていた。
「雨降ってるの……?」
「ええ。今降り出したとこです」
「ちょっと待ってて」
また自動ドアの中に入っていった。
オレに貸すために、傘でも取りにいったのかな。
しばらくぼんやりしていると、エントランス前に一台の車が止まる。
いかにも女の人が乗りそうな赤い軽自動車。
窓が下がり、中から顔を出したのはスミレさんだった。
「乗って。家まで送るわ」
ここに着いた途端、スミレさんはさも当然と言わんばかりに口を開いた。
「じゃ、CD取ってくるから、ここで待ってて」
「え……?」
そしてオートロックを解除すると、ポカンと口を開けたままのオレを残し
一人だけ自動ドアに吸い込まれていった。
せめてエントランスの中ぐらいには入れてもらえてもよかったんじゃないの?
部屋番号をオレに知られたくないってか?
やっぱりスミレさんとオレの間には、どうにも崩せない厚い壁が存在するようだ。
はぁ……とため息一つ。
なんとなく湿っぽい匂いがすると思っていたら、道路にポツポツとシミが出来始めた。
そしてそれは一気に本格的な雨へと変わっていった。
ここはひさしがあるから大丈夫だけど。
傘持ってないから帰りは濡れそうだな。
なんて考えていたら、ドアが開く音がした。
振り返ると、CDを手にしたスミレさんが立っていた。
「雨降ってるの……?」
「ええ。今降り出したとこです」
「ちょっと待ってて」
また自動ドアの中に入っていった。
オレに貸すために、傘でも取りにいったのかな。
しばらくぼんやりしていると、エントランス前に一台の車が止まる。
いかにも女の人が乗りそうな赤い軽自動車。
窓が下がり、中から顔を出したのはスミレさんだった。
「乗って。家まで送るわ」