ミル*キス
――キタ。


インターフォンの画面に映っていたのは


彼女だ。



ドアを開けたオレはクスクス笑いながら言った。


「ちょうど今、コーヒーを淹れようとしていたんですよ」

「もぉ……」


ちょっと困っているような複雑な表情をする。


だけどその瞳は優しかった。


はぁ……と軽く息を吐き出して


「じゃ、一杯だけいただきます」


スミレさんは家の中に入ってくれた。



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