ミル*キス
「……キレイやな」


コンポのデジタル表示の明かりがオレ達を青白く照らし出していた。


透けるほどに白い肌。

強く抱きしめたら折れてしまいそうな腰のライン。


だけどやわらかくて、なめらかで。


オレは上から順番にキスを落としていく。



体勢が悪かったのか、少し体重をかけてしまった。


「痛っ……」


小さな悲鳴。


そうだ。

忘れていた。

足が不自由なんだった。


「ごめん……。痛かった?」


彼女の足首にそっと触れた。


「あ、うん。平気」

「これ……手術跡?」


ほんの少し盛り上がっている箇所がある。


「うん。気づいてた? 足、悪いの……」

「うん。時々ひきずってたから」

「そっか。最近は上手く歩けるようになったと思ってたんだけどな……」

「怪我したん?」

「うん。昔ね。高校生の時に事故に遭って……それで。今はほとんど気づかれないぐらいになったんだけどね」


「痛む?」

「ううん」


足を抱えて、そっと手術跡にキスをした。
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