ミル*キス
「アイツ……何者?」

「何者って……。サトシ君、桂木さんに興味アリ?」


いや、別に……と言いかけたオレの腕にトモミさんは自分の腕を絡ませる。


「せっかくだから、何か食べながらじっくり話さない?」

「……」

「それとも、うちくる?」


オレの耳に唇を寄せて、誘うように甘い口調で言う。

小悪魔ぶりは相変わらずだ。


「うーん……」


と、考え込むオレの背中をバシンと叩く。


「サトシ君て、ホント、正直だよね! ちょっとムカつくぐらい」って言いながら。


「冗談だってば。
言ったでしょ? あたし、ちゃんと付き合ってくれる人じゃないとヤラないって。
今から同期の子達と飲み会なんだ。そこにサトシ君、連れていっちゃう。みんな可愛がってくれるよ~」


「は? 何それ? ひょっとして、女ばっかりなん?」


「うん。みんなに自慢しちゃおっと!」


「ちょ、ちょっと……」


引きずられるように、オレは女ばかり(しかも年上)の飲み会に連れていかれた。



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