ミル*キス
「スミレさんに恋人がいること……」


「なんでそれ……」


その場で足を止めたミーコ。

ハッとしたような顔をして、口元を覆った。



オレは予備校前で見たことを簡単にミーコに説明した。

眼鏡をかけた男とスミレさんが一緒にいたことを。



ミーコは眉をひそめてしばらく考えこんで、それからゆっくりと口を開いた。


「おばあちゃんのマンションで……何度か見かけたことがあったんです……。スミレさんが男の人と一緒にいるところ……。スミレさんはあたしに気づいてなかったけど……」


息が止まりそうだった。

決定的な証拠をつきつけられた気分。


「あの男……フジさんと同じマンションに住んでるん?」


ミーコは黙ったままコクンと頷いた。


「ふーん。スミレさんは……男の部屋に入ってた?」


「えっ……」


「いいで。正直に話して」


困ったような、複雑な表情を浮かべるミーコ。


「えと……。……はい。スーパーの袋提げてたから……お料理とか作ってあげるような仲なのかな……って思ったりしてました」


「そっか……」


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